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後藤正治ノンフィクション集文庫版


(撮影・太田順一)

後藤正治(ごとう・まさはる)
1946年京都市に生まれる。京都大学農学部卒業。
ノンフィクション作家となり、医学、スポーツ、人物などの分野で執筆を重ねる。 2007年より神戸夙川学院大学教授。

「空白の軌跡」(講談社文庫)で第四回潮ノンフィクション賞、
「遠いリング」(岩波現代文庫)で第12回講談社ノンフィクション賞、
「リターンマッチ」(文春文庫)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞、
を受賞。

他の著者に、「牙」(講談社)、「復活」(文藝春秋)、「甦る鼓動」(岩波現代文庫)、「スカウト」(講談社文庫)、「奪われぬもの」(同)、「生体肝移植」(岩波新書)、「刻まれたシーン」(ブレーンセンター)、「秋の季節に」(ブレーンセンター)などがある。

本ノンフィクション集は、書き手として出発して以降二十数年の間に刊行された 主要なノンフィクション作品のほとんどが収録 される予定である。

■最新刊!:第8巻『ラグビーロマン』・『復活』・『冒険者たち』

■BCBOOK特集 昼間の相手を描く。それが流儀。

収録予定タイトル

巻数 収録内容
第一巻

『空白の軌跡』
初版1985年/登場人物:曲直部寿夫、藤田毅、阿久津哲造、 牧野太平、仲田明美、上林義一、勝又孝
◎第四回潮ノンフィクション賞
◆長い空白の期間を強いられた外科医たちの苦悩と奮闘を描く。
わが国初の心臓移植は、1968年夏、北都の病院で行われ た。しかし、この和田心臓移植は、心臓のみならず、臓器移植そのものをタブー視させるに至った。そして日本の 心臓移植は、長い空白の歳月を強いられる。いま臓器移植の新しい時代を迎えつつあるが、長い空白の期間、外科医たちの苦悩と奮闘を描く。空白の軌跡。

『ふたつの生命』
初版1988年/登場人物:仲田明美、アンドレア松島、ノー マン・シャムウェイ
◆もう一度走ってみたい!移植を考えるための必読のドキ ュメント。
今日が臨終の日となるかもしれない。そう覚悟しながら、この10年に近い歳月が過ぎた──心臓と肺に移植でしか 救われない病を持つ若い女性患者のもとに、同じ病と闘う アメリカ人女性から手紙が届いた。絶望と希望の交錯、生 と死を見つめて生きる二人の心うつ交流、脳死論議の陰の 生きるための闘いを描く感動の記録。

『人工心臓に挑む』
初版1987年/登場人物:ウィレム・コルフ、阿久津哲造、 渥美和彦、能勢之彦、松田武久、福増廣幸、など多数
◆心臓は生命と魂の宿る場所として、人類史の中で神聖 視されてきた。これを機械によって代行させるという、 神への冒涜ともいえる発想をいだき、動物実験を重ね、 ついに治療の時代に踏みこんだ医師たち。彼らの試行錯 誤、競争と協力の30年を、日米両国の徹底取材によって 追跡したのが本書である。これは先端医療の実像を伝え る記録であり、同時に、個性豊かな医師と技術者の夢と 野心、失意とひらめきを生き生きと示すドラマである。

第二巻

『甦る鼓動』
初版1991年/登場人物:岩城裕一、三井香兒、高橋公太、広 瀬一、ノーマン・シャムウェイ、トーマス・スターツル、藤 田毅、曲直部寿夫、岩崎洋治、など多数
◆「脳死鎖国・日本」にあって、臓器移植でしか助からな い人たち―。その切実な叫びを前に苦闘する、移植外科 医たちの情熱とその成果の記録。 30年ぶりに再開された日本の心臓移植──誤解と美談 につつまれた臓器移植医学はどのように確立されたの か。日米の最先端の医療現場の長期取材にもとづいて、 移植でしか救われない患者と家族の切実な訴えを前に 苦闘する医師と研究者の世界を描ききった、脳死を考えるためにも必読の長編ノンフィクション。

『生体肝移植』京大チームの挑戦
初版2002年/登場人物:田中紘一
◆生きることに賭けて彼らはリスクに挑む。
脳死移植の法整備問題もあり、日本で独自の発展をみた 生体肝移植。移植手術のリスク、健康な生体にメスを入 れるリスクを超えて、患者・家族は生きることに賭ける。 目前の命を救うために、医療チームは宿命的な困難に挑 み、技術を進展させてきた。最先端医療の局面で展開さ れる患者・家族と医師・スタッフの緊迫した熱いドラマ。

第三巻

『遠いリング』
初版1989年/登場人物:井岡弘樹、徳島尚、山根禎英、 野崎万弘、谷内均、大竹永寿、奥田章博、河野俊彦
◎第十二回講談社ノンフィクション賞
◆青春の燃焼、人生の意味──渾身のスポーツ・ノンフ ィクション。
ボクシングは夢を見つづける力がなければやっていけ ないスポーツである。青春の燃焼を求めて、大阪グリー ンツダジムに通う若者たち。精神の緊迫感、勝負の熾烈 さ、努力と壁、薄暗い練習場の片隅で、無心にサンドバッ クを叩き続ける無名のボクサーたちの肉体の輝きを活
写し、現代の青春そのものを描ききった、渾身の人生的 ノンフィクション。(「高橋のぶ子 解説」より)

『咬ませ犬』
初版1993年/登場人物:谷内均、福田功、小島浩三、坂田好 弘、山本一夫
◆倒される前に倒す──スポーツノンフィクション傑作集。
本物のプロの世界を描いてみたい──倒される前に倒す、 その一瞬を狙う無名ボクサー、咬ませ犬の青春、公式戦記 録のない二軍監督、競走馬の仕上げに賭ける厩務員、ラガ ーマンの見果てぬ夢、尖鋭登山に挑み続ける中年クライマ ー。彼らの情熱の源は何か。スポーツの世界を舞台に、人生 の哀歓を鮮やかに描く連作ノンフィクション。

第四巻

『リターンマッチ』
初版1994年/登場人物:脇浜義明
◎第二十六回大宅壮一ノンフィクション賞
◆人生に負けつづけたこの子たちに一つでも勝たせたい。
定時制高校にボクシング部が生まれた! 定時制高校の教壇に立って、二十数年、子供たちの変化 に脇浜義明は戸惑っていた。「成績は悪いが、ケンカは強 い」が、いつ「成績も悪く、ケンカも弱い」になってしまっ たのか。脇浜は子供たちにひとつでも「勝つ」ことを知っ てもらおうとボクシング部を創設する。それは彼自身の 敗者復活戦でもあった。

『私だけの勲章』
初版1990年/登場人物:福田二郎、米田豊昭、榎並公雄、 柳下茂、樋口一雄、田辺春夫、山口真、片岡馨、川藤幸三
◆自ら信じた世界に本気で賭ける男たちの肖像。
裏方たちの物語である。カラオケ全盛時代に、「演歌」に 賭けるネオン街の流し、シンクタンクを率いる京大天皇 事件関係者、御巣鷹山のスクープに成功したテレビクル ー、選挙参謀に醒めた情熱、阪神名物代打男川藤幸三。卓
抜した腕を持ち、名声を求めず、人生の哀歓を滲ませて 街を行く、不器用で格好のいい男たちの肖像。

第五巻

『スカウト』
初版1998年/登場人物:木庭教
◆これが日本プロ野球を支える陰の男たちだ!
広島カープの黄金時代を演出した名スカウト、木庭教と戦後野球史。広島カープの黄金時代を演出し、のち大洋、オリックス、日ハムに多くの大器を送り出した男、木庭教(きにわさとし)。才能ある選手を求め、40年にわたって日本全国を歩きまわったその足跡は、そのまま戦後プロ野球史である。球界を支える〈影の男たち〉=スカウトの哀歓にスポットライトをあてた傑作ノンフィクション。

『奪われぬもの』
初版1997年/登場人物:福永洋一、高橋直人、福間納、林敏之、中川茂一
◆戦い抜いた果てに人は何を見るのだろう。トップに立つ者の恍惚と不安。人はなぜ戦うのだろう?戦い抜いた果てになにを見るのだろう?競馬の福永洋一、ボクシングの高橋直人……。時は容赦なく彼らの夢を、力を、プライドを奪いさる。しかしなお<奪われぬもの>の一条の光。それこそがファンの眼を射る。練達の筆が冴えるスポーツ・ノンフィクション5篇。

第六巻

『牙』江夏豊とその時代
初版2002年/登場人物:江夏豊
◆マウンドに立てば目の前の敵に全力で牙を剥く「プロの中のプロ」がいた。縦縞のユニフォームの男。投手・江夏。みんな彼のことを憶えている。通賛成績206勝158敗193セーブ。そしてあの21球。長嶋がいて王がいた。村山がいた……。グラウンドが真剣勝負に満ち、日本中が燃えていた時代を知る者のみならず、全ての野球ファンに捧げる傑作ノンフィクション。

『不屈者』
初版2005年/登場人物:森安敏明、村田亙、谷川浩司、井村雅代、山野井泰史
◆情熱に、限界はない。逆境の真ん中で見出した、人生の意味──絶望からカムバックした5人の「達人」の魂を描く人物ノンフィクションの最高峰!!プロ野球を追放され、少年野球の世界で再生した元投手。全てのタイトルを失った後に、生涯の名手を放った棋士。ワールドカップでの不運を糧としたラガーマン。組織を追われ、独力で名伯楽となったシンクロコーチ。生命の危機に瀕しても、なお山を目指す登山家……人物ルポの名手の傑作集!

第七巻

『ベラ・チャスラフスカ』節義のために
初版2004年/登場人物:ベラ・チャスラフスカ
◆選手生活の全盛期、時代の動乱に遭遇し、その渦に巻き込まれつつ、背筋を伸ばして生き続けた。1964年、東京オリンピックで世界中を魅了し金メダルを獲得したベラ・チャスラフスカ。だが、東欧社会主義圏のチェコに生まれ育った体操の女神のその後の人生は、あまりにも過酷なものだった。時代の荒波に翻弄されながらも自身の生き方を貫き通そうとした女性の個人史を丹念な取材によって描いた渾身の力作。

『マラソンランナー』
初版2003年/登場人物:金栗四三、孫基禎、田中茂樹、君原健二、円谷幸吉、瀬古利彦、宗茂・猛、中山竹通、谷口浩美、有森裕子、高橋尚子
◆アテネ五輪の42.195キロ、そのスタート地点に至る日本の100年を見よ!1912年のストックホルム五輪に日本人として初めて参加した「日本マラソンの父」金栗四三以降、日本は傑出したランナーを数多く輩出してきた。孫基禎、田中茂樹、君原健二、円谷幸吉、瀬古利彦、宗茂・猛、中山竹通、谷口浩美、有森裕子、高橋尚子──。時代の変化、周囲の期待、そしてランナーの意思。彼らが闘ったレースとその肉声に迫りつつ、日本マラソン百年の変遷を辿る。「日本人の精神史」に通じる、出色のスポーツ人物列伝!

第八巻

『ラグビーロマン』岡仁詩とリベラル水脈
初版2006年/登場人物:岡仁詩
◆その埋み火のように甦る教訓。アマチュア・スポーツ精神の原点。
ラグビーは走る格闘技である。岡仁詩(1929年生)は太平洋戦争の真っ只中にラグビーと出会い魅せられた。のち選手として、監督として斬新な戦法をあみ出し、同志社大学をラグビー界のトップに導き、多くの指導者を育てた。日本の体育界に稀有なリベラル・ラガーマンの足跡を辿りつつ、アマチュアスポーツの原点を探る。

『復活』十の不死鳥伝説
初版2000年/登場人物:秋元正博、カズ山本、斎藤真由美、宮地克美、大野豊、高橋繁浩、柴田政人、ジョージ与那城、野村克也、杉原輝雄
◆彼らが教えてくれた。人はいつだって歩きだせる!凄絶な自己との闘い、鮮烈なカムバック──感動のスポーツ・アンソロジー。
彼らの共通項は、大きな挫折と遭遇し、深い谷底にある時間を過ごしていることである。同時に、その谷底から這い上がらんとして多くの労力を費やしたことである。その過程の一部を記したのが本書である。(中略)ただ、本書をまとめたいま、あらためて思う。復活が、元に戻る
ということなら本来的にありえないことではないか。<復活>とは、復活へと歩み出す意思と過程にすべてがあるのではなかろうか。スポーツに限定されることではない。人生の日々がまたそうであるに違いない。人はいつも途上にいる。(後藤正治「あとがき」より)

『人生の冒険者たち』
初版1997年/登場人物:湯浅貞雄、江夏豊、道浦母都子、宇野収、新宮晋、岩城裕一、小島太、吉田英枝、平尾誠二、大村晧一、柳田邦男
◆夢を追う11人。一読爽快、元気の出るノンフィクション。
街角でガス弾の匂いがふと甦るとき、全共闘世代の著者の背に寂寥が漂う。我々にとって生きるとはどんな意味があるのか──スポーツ、医学、経営、芸術など様々な分野で夢を追い求める現代の冒険者11人の情熱の源泉を探り、一読、人生そう悪くないものだと思わせる連作ノンフィクション。人に出会うと、ある種伝わってくる波動がある。……、その紋様が、書き手の波長とどこかで重なったり、擦れ違ったり、共鳴したりすることはしばしばあるものだ。ノンフィクションにおける取材は、その交差路を探り当てる作業であり、ノンフィクションを書くとは、伝わってきた波動が書き手の体内を通過してもう一度戻っていく波紋であるような気がする。

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文庫版/720頁
税込価格…2520円

第九巻 短編集
次回刊行予定
第十巻 短編集  
*諸事情により内容を変更することがあります。

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